咲き誇る人たちと咲く

誰かの人生の一部になる、
特別な仕事です。

1995年の入職以来、介護職員として勤務。2024年から、あゆみえん全体の園長として事業運営、職員のマネジメントにあたっています。これまで、いろいろとありました。人に接する仕事がしたいと思って徳心会に入りましたが、介護はまったくの未知の世界で。祖父母とも同居したことはなかったので、高齢者の方への接し方も分かりませんでした。当時は高卒で介護施設に入職するという人も珍しく、同期も介護系の専門学校を出た子たちばかり。知識も何もなく、自信をなくして落ち込んだこともありましたね。結婚後、子どもを二人出産しましたが、自身のキャリアと家庭の両立に苦労したこともありました。子育てしながらとなると、夜勤に入れなくなりますからね。その分、日中にどんな価値を生み出せるか。皆がいやがる仕事もなんでもやらせてもらおう!と思って働きました。それでも、ポジションが上に上がるほど、責任も大きくなります。いつの時代も葛藤があったと思います。

だけど、私はこの介護の仕事が大好きで。そういう大きな根っこがあるから、ここまでやってこれました。そんな気持ちにさせてくれたのは、初めて担当させていただいた女性の利用者でした。自分で歩けるし、麻痺もなく生活の基本動作はできる方でしたが、認知症がある方で。単語レベルは発話できるけど、会話はなかなか成立しない。お手洗いや入浴、食事を促しても拒否されて引っ掻かれたり。職員、皆、どうすれば良いか対応に悩んだ方でした。でも、毎日お声がけをしていく中で、その方の発する言葉や時折見せるしぐさが上品なことに気づいたんです。記録を見ると、子どもの頃から裕福な家庭環境で過ごされた方だった。それ以来、私も言葉遣いに気をつけて、お声がけしました。「ご機嫌いかがですか?」「お手洗いに参りましょうか?」そんなことを繰り返すなかで、だんだんと顔がほころんでいかれました。認知症の方でしたが私のことは覚えてくださり、「あなたが手伝ってくれるのね。」と喜んでくださいました。介護は、おむつを変えたり、身体を洗うだけじゃない。その方が毎日を過ごされる中で、ご家族が安心して介護を徳心会に任せて暮らされる中で、あなたじゃなきゃダメという、特別な存在に自分がなっていく。利用者やご家族の人生の一部になれる仕事なんだ。そんなふうに思えました。そのやりがいを、あゆみえんの職員に伝えたい。それが今の私の園長としての使命だと考えています。

あゆみえんは、介護事業部だけで職員が90人以上も在籍しています。でも、皆、誰かにとって、そんな“特別な人”になってほしいですね。自分の担当している利用者にはどこまでも想いを持って接し、その方を特別扱いすればいいと思います。そうする中で、素敵な関係性が築かれていく。たくさんいる職員のうちの一人じゃなく、その人の人生にとって代わりの利かない人になっていきます。私たちの仕事、そしてこの徳心会という場所は、いろいろな人生を経験され、様々な経緯でいらっしゃった方々の人生の終盤の拠り所になります。電気やガスや水道と同じく、生きるために必要不可欠で、ライフラインのような仕事であり、生活の場なのだと思います。介護って、ちょっと地味で大変そう?たしかにそうかもしれないけれど、その分、奥が深くて、尊いものです。このあゆみえんにはそんな想いに共感し、情熱をもって働いてくれる職員がたくさんいます。これからも、皆が誇りを持って咲き続けられるように。一緒にたくさんのチャレンジを楽しんでいこうと思います。